top of page

途上国開発において、経済的・社会的に貧困な環境にいる一番支援を必要としている人々に働きかけ、やがて彼らが支援を必要としない状態を作り出すことは重要である。そのためには、援助を受ける側の人々が自主性を発揮できる環境を整えなければならず、彼ら自身の取り組みをドナーが支援するという形で支援することが必要である。そこでロバート・チェンバースによって提唱されたのが「参加型開発」である。参加型開発は、ニーズに合わせて送った物を訓練や教育などを通して普及させる技術移転型開発の発展型として提唱された。 参加型開発と技術移転型開発で最も異なる部分はドナーの役割で、主体を開発者ではなく、受益者におくことで自立を促すことができる。現在、この参加型開発が主流になってきているが、重要なことはプロジェクト終了後ドナーが撤退した後も現地の人々の手で行動を持続させていく必要があるということであり、行動を持続 させていくプロセス(=習慣化)は参加型開発とも密接に関連している。

 

なぜ参加型開発と習慣化は関連していると言えるのだろうか。参加型開発による浄水施設の支援を例に考えてみると、ドナーが浄水施設を支援した後、住民自らによってその施設の管理に携わらせ住民組織をつくる。そこでは、それによってプロジェクト終了後、つまりドナーが撤退した後も継続して浄水施設を運用するよることが意図されている。このように参加型開発が人々の行動を持続させるために用いられることも多い。

 

しかしながら、参加型開発を行えば住民のオーナーシップが醸成され、主体的に行動が持続するというほど簡単なものではない。実際、行動が持続せずに失敗するケースがしばしば見受けられる。例えば農業開発でドナーが撤退した後住民によって灌漑の管理が適切になされなくなったりしているのである。ただ「参加」させれば実態のある参加型開発になるというほど簡単なものではない。「参加」させても行動が習慣化しなければドナーが撤退した後、彼らの行動が続かず開発効果が持続しない可能性があり、支援の最終目標である途上国 の人々がドナーの力を借りずに自らの力で発展させていくという「自立」は達成できない。逆を言えば参加型開発がうまく機能するには「習慣化」させることが必要であり、一度習慣になってしまえば継続して行動が行われる可能性は高いだろう。

 

そこで本討議会では、どうしたらドナーが撤退したあとも持続する支援につながるのかを考えていきたい。 まず、カンボジアにおけるトイレ建設の事例を分析し、トイレが村に定着しなかった原因を考える。次に「持続する状態」(=習慣化)を引き起こす行動とは何か考え、最終的には事例にある村にどうやったらトイレを定着させることができるのかという視点から持続する支援のあり方について模索していきたい。 

 

第二討論 

「持続する」支援のカタチ

第二討論

過去ディスカッション

ここでは第36回国際学生シンポジウムで使用したディスカッションテーマを公開しています。

 

bottom of page