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再開発は日本全国、様々な場所でなされており、駅周辺や市街地をはじめとしてオリンピックといった大規模なイベントの開催時にも行われる。そこでは主にハード面の開発が行われ、特定の場所の都市化を一層進めていくものだといえる。再開発は経済を活性化し、社会にとってプラスの効果を生みだすきっかけとなる。また、空間のイメージチェンジを図ることで新たな地域の魅力を内外に発信したり、さらには地域再生につながったりする可能性ももつ。それは地域に住む人々の生活をより便利で豊かにするだけではなく、周辺地域にも波及効果をもたらす。しかし、再開発の過程やそれが行われた場所(都市)においてホームレスの排除が行われている現状がある。その方法には、公園など公共空間での生活を余儀なくされているホームレスの強制排除が行政主導で行われていたり、ホームレスを長居させないためにかまぼこ形のベンチや、もはや座る機能をほとんど果たしていないベンチ、同じ目的でオブジェが設置されたりもしている。

 

これらの実効性を考えたとき、前者では排除が行われたあとホームレスは近くの別の公園に移住するという結果を招いてしまっており、彼らを排除する目的を達成できていない。また、後者の例のようなベンチは高齢者や子連れの親たちが利用するにあたっても不便なものとなってしまっている。つまり、少数派の人々を排除することで今の再開発が成り立っているのであるが、結果的にそれは誰もが住みにくい場所へと変化させてしまっている。

 

本ディスカッションでは、そういったホームレスの排除が行われている原因について考える。具体的には、上にあげた2つの排除の事例を織り交ぜつつ、再開発が行われる過程や都市の性質などによって生じている排除を中心に様々な視点から原因を探っていく。最終的には、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)という語をキーワードにして、従来のハード面のみを重視してきた再開発ではなく、ソフト面の重視またはソフト面とハード面の組み合わせによる再開発・都市の今後のあり方を模索する。それには、日雇労働者(ホームレス)の寄せ場として長らく使用されてきた大阪の釜ヶ崎で行われた釜ヶ崎芸術大学のような日雇労働者(ホームレス)とそれ以外の人びとが交流できる場をつくりだしている取り組みを一例にしつつ改善策を考える。つまり、 少数派の人々の排除ではなく、誰もが住みやすい場所へと改善できる再開発や都市の条件や具体的方法を考え る。 

 

 

第三討論 

再開発とホームレス

―都市化と社会的排除― 

第三討論

過去ディスカッション

ここでは第36回国際学生シンポジウムで使用したディスカッションテーマを公開しています。

 

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